9月5日午前11時40分頃、横浜市神奈川区の京急電鉄・神奈川新町駅近くの踏切で快特電車とトラックが衝突した。この事故でトラックの運転手とみられる67歳の男性が死亡した。また、電車に乗っていた32人がけがをして病院に搬送、このうち20代の女性が骨盤損傷の重傷を負った。
Live News it!のスタジオでは鉄道事故に詳しい技術評論家の桜井淳さんに、今回の事故の原因について解説してもらった。
まずは目撃証言をもとに事故の経緯をまとめる。
(1)トラックは線路に平行する細い道から踏切に向かって直角に右折
(2)トラックは角を曲がりきれず、切り返しを繰り返して立ち往生
(3)トラックが立ち往生をしている間に踏切の遮断機が下りてしまった
(4)しかしトラックはそのまま踏切を突っ切ろうとした瞬間に電車と衝突
(5)トラックは荷台から電車に引きずられるように線路内に
(6)電車は約80メートル進んで止まったが、前3両が脱線
もし緊急停止ボタンが押されていれば…
加藤綾子キャスター:
駅がすぐ近くにありますが、駅員の方とかはこの状況というのは近くで見ていなかったということでしょうか?
技術評論家 桜井淳氏:
実は踏切に緊急停止ボタンがあるんです。トラックの運転士さんが下りて押すか、近くを通っている通行人が押すか、あるいはこの状況を見てホームにいる客や駅員とか誰か気がついた人がいればホームの緊急ボタンを押す。そうすれば多少はよかったのかもしれないですね
駅を通過する電車では緊急ブレーキは間に合わない
技術評論家 桜井淳氏:
しかし、気がついたときには神奈川新町駅を通過する快特電車が来ていた。ここで電車が緊急ブレーキをかけたとしても200~300メートルの制動距離がありますから、衝突を回避することはできないんですね。今回は緊急自動ブレーキが働いたと思うんです。というのはトラックが入り込んだときに遮断機が下りていて踏切が下りていた。そうすると障害物検知機がトラックを感知して、電車に緊急ブレーキが自動でかかる仕組みになっています
加藤綾子キャスター:
電車の運転士には異常を知らせる信号機が赤になっていたということなんですね
技術評論家 桜井淳氏:
ただ赤になっていても駅を通過する快特電車は止まるのが間に合わない。トラックが強引に入り込んできて、わずかの差でぶつかったわけですね。本当はトラックが入らなければよかったんです。入ったとしてもさっと抜けていれば、あと0.5秒か1秒の差でぶつからずに済んだかもしれない。そういう面では非常に悪い条件が重なってしまったということですね
加藤綾子キャスター:
桜井さん、電車が急停止するために必要な距離というのはどのくらいになるんですか?
技術評論家 桜井淳氏:
通常状態だったら時速100キロぐらい出していたら、止まるには300メートルぐらいは必要ですね。ですから、直前に来たら衝突を回避する方法はないということだと思いますね。
(Live News it! 9月5日放送分)
2019-09-05 10:00:00Z
https://sp.fnn.jp/posts/00048057HDK/201909051900_livenewsit_HDK
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