広がり続ける“新型コロナ” クルーズ社の対応は…
中国本土で死者400人、発症者が2万人を超えた、新型コロナウイルス。
日本国内では、一時乗船していた男性が感染していたとして、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜・大黒ふ頭沖に停泊し、乗客・乗員約3,700人に健康状態の聞き取りやサーモグラフィーによる体温測定などの検疫を行っているが、横浜市は4日の着岸はないと発表した。
また、ダイヤモンド・プリンセスの運航会社は、横浜港での検疫・検査に時間がかかっているため、本日横浜港を出港予定だったクルーズを中止することを決めた。(4日17時現在)
優雅な気分が味わえる人気の船旅だが、一度陸を離れてしまえばそこは一種の閉鎖空間となる。
そのため、常に清掃の徹底といった衛生管理、感染症予防に気が配られているが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、特別な対策がとられているのだろうか。
今回の件とは別のクルーズ会社、「ぱしふぃっくびいなす(Pacific Venus)」を運航する日本クルーズ客船株式会社など、3社に対応についてお話を聞いた。
中国への寄港を中止…
――乗船・下船時に乗客に義務付けていることは?
乗船時は、受付時にすべてのお客様に「健康質問票」をご提出いただき、健康状態の確認を行っております。また、乗船口に係員を配置し、すべてのお客様・乗組員に対して、手指のアルコール消毒を実施しています。
外航帰着時は各港検疫所の指示に従い、船医申告書、診療室利用報告書などの提出を含め、検疫・連絡体制を万全なものにします。
船内には数カ所にアルコール消毒液を設置しているほか、レストランではすべてのお客様に手指消毒のご協力をお願いしています。
また、ご自由にお使いいただけるマスクをフロントに用意し、感染症予防のためマスクの使用とこまめな手洗いやうがいの励行をお願いしており、体調がすぐれない方には早期の船医受診をお願いしています。
各種感染症の疑いがある患者が発生した場合は隔離を行うとともに、厚生労働省の通達、当社緊急時対応手順書に従った対応をおこないます。
――これらの対応は通常時も行われているもの?
はい。
――新型コロナウイルスへの対応として、中止・行き先の変更等は発生している?
1点ございます。
――新型コロナウイルスに関する問い合わせやキャンセルはある?
問い合わせはございますが、弊社の対応をご説明し、ご理解いただいております。
日本クルーズ客船株式会社では、乗船時に「健康質問票」の提出が義務付けられているほか、自由に使える消毒用アルコールやマスクを船内に常備。感染症の疑いのある乗客が発生した場合は速やかに隔離し、厚生労働省への通達等の対応を行うという。
新型コロナウイルスの流行による特別な対応は無く、これらは通常時も行われている対応だというが、同社のホームページでは「現在の状況から当面の間、乗船日から過去14日以内に中国本土への渡航歴がある方のご乗船はお断りさせていただきます。」としている。
また今回、1月16日~2月17日の「ゆったりアジアクルーズ2020」の中で予定されていた中国・三亜、厦門への寄港を中止。
代わりに台湾の台南、高雄、花蓮への寄港を決定しているとのことで「引き続き、船内での感染予防に努め、お客様の安全・安心を最優先に運航してまいります」と話している。
2009年「新型インフル」流行時のマニュアルで対応
1月中旬から2月中旬にかけての長期クルーズが行われているという別のクルーズ社では、寄港予定地では新型コロナウイルスの感染リスクが低いことから特別な対応は行っておらず、また問い合わせもほぼ寄せられていないという。
現在は乗船時に
・体調の優れない乗客に関してはその場で乗船について判断している
ということで、2009年に新型インフルエンザが流行した際に作成したマニュアルに沿って対応しているという。
次回のクルーズは4月初旬を予定しており、今後の対応については状況と相談しつつ決めていくそうだ。
健康質問票の今後の書面内容については現在検討中
さらに、現在クルーズを行っていない別の社では、次回3・4月の出港に向けて情報収集を行っているといい、3月のクルーズからは
・乗船の際に健康質問表を必ず提出する
・検温等に協力をお願いする場合がある
・乗船日から遡って14日以内に中国本土への渡航歴を有する場合、乗船できない
などの対応を予定。
通常時も健康質問票の配布、船内のアルコール消毒機器設置などは行われているというが、健康質問票の今後の書面内容については現在検討中だという。
また、ツアー中に発熱などの症状のあった乗客には、船内診療室での受診ののち、症状に応じて船医の判断により、客室から出ずに過ごすよう案内したり、陸上病院への搬送等を行うという。
新型コロナウイルスへ関連の問い合わせはあるとのことだが、現在はスケジュール通りの運航を予定しているという。
今回お話を伺った中では、運行ルートの変更などの影響はあったが、チェック体制や船内での過ごし方などに特別な変更などはなかった。
各社とも今後の状況を注視し、情報を更新していく予定とのことだ。
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