こんにちは!
これまで、美術館に行って展覧会評を書いてきたこちらの連載ですが、残念ながら新型コロナウイルスの影響で、美術館はどこもクローズ。
そこで、わたしたちがいまできる最強のアクション「ステイホーム」の一助となるべく、ネットで見ることができるアートやカルチャーの楽しみかたをご紹介します。
ステイホーム推進のさなか、毎日ダル着で過ごすことができるこの日常はマジ貴重ですが、やっぱりお気に入りの服を着て思いっきりおしゃれしたくなるものです。
だけど、ファッションの楽しみは「着る」ことだけではないはず。こんなときは、おうちで「見る」ファッションはいかがですか?
というわけで、今日のテーマは「ファッション写真」! さっそく過去のものから見ていきましょう。
入門編として素晴らしいのは、ドキュメンタリー映画『In Vogue: The Editor's Eye』(2012)。
ファッション雑誌界のクイーンである『VOGUE』の各時代を代表する編集者たちが、いまでは伝説となったファッションシュートの裏側を語ります。
こちらはAmazon Prime Videoで見ることができます。
この映画でも紹介されているファッション写真の大御所、アーヴィング・ペンとリチャード・アヴェドン。
アーヴィング・ペンは、シンプルな構図とポーズで、洋服とモデルの美しさを存分に活かした伝説的フォトグラファー。そして、ペンが築いたファッション写真の真髄を昇華させたのがアヴェドンと言えます。
例えば、アヴェドンが撮影した《ドヴィマと象》は、モデルの美貌と象の野性が出会ったエレガンスの極み。ファッション写真の大傑作です。
彼らの作品は、「Google Arts & Culture」で見ることができます。

アーヴィング・ペン — Google Arts & Culture

リチャード・アヴェドン — Google Arts & Culture
「Google Arts & Culture」には、このあと紹介する写真家たちの作品もまとまっているので、ぜひ検索してみてください!
時代が移り変わり、1990年代から2000年代にはヴォルフガング・ティルマンスや、ユルゲン・テラーらが活躍。彼らは、『VOGUE』のような伝統的なハイクラス向けのファッション誌ではなく、『i-D』や『purple』といったインディペンデント・ファッション・カルチャー誌で主に活躍します。ユースカルチャーやストリートカルチャーに寄り添い、モデルのリアルな表情をとらえました。
こちらの「artnet」は作品を購入するためのサイトですが、かなりの作品数が見れるのでおすすめ。

また、ティルマンスのウェブサイトでは、写真集のPDFをなんと無料でダウンロードできます!

book downloads - Wolfgang Tillmans
彼らの作品は、ペンやアヴェドンとは異なるスタイルのファッション写真。飾らない、キメすぎない自然体が革命的でした。
最近は日本国内でも、フィルムで撮影した、力の抜けた感じのファッション写真が多く見られますが、こうした手法のルーツに彼らの存在があるのですね。
一方で、ティム・ウォーカーのような盛り盛り派も。ウォーカーは、リチャード・アヴェドンの元弟子。アヴェドンよりもさらに幻想的な世界観を構築する、作り込まれたセットが特徴です。最も影響力のあるファッション写真家のひとりですが、彼のウェブサイトも作品が充実。代表作から近作までを振り返ることができます。
さて、2010年代を代表するのは、オランダの写真家ヴィヴィアン・サッセン。
彼女のファッション写真は、これまでと異なり、いわゆる「ポーズ」らしくないポーズが特徴的です。彼女の登場以降のファッション写真は、これまでの「ポーズ」とは異なる身体表現がひとつの特徴となっています。
彼女のウェブサイトにも、作品が多数掲載されています。

さらに彼女は、2021年に延期が決定したオリンピック東京2020大会のアートポスターも手がけています。
他のアーティストのポスターもとても魅力的なので、ぜひご覧あれ。
最後は、チャーリー・エングマン。1987年生まれと若手でありながら、プラダやマルニの広告を撮影する新進気鋭のフォトグラファーです。
母親をモデルにしたシリーズなどを撮影していますが、彼の作品には、ファッション写真らしさに「ひざかっくん」したような、適度な攻撃性と力の抜け具合が同居しています。
彼の作品やイメージソースがぽんぽん飛び出してくる楽しいサイトになっています。
これまでは、いわゆる眉目秀麗なモデルがファッション写真の中心でした。しかし最近の特徴として、プロフェッショナルのモデルではない人々、つまり、いままでファッション写真において「なかったことにされてきた身体」を被写体にしていることが挙げられます。
近年のフェミニズムの高まりやルッキズムへの反発など、時代の流れはファッション写真にも強く反映されているのです。たとえばZARAは、ジェンダーや体型、人種などの多様性にいち早く対応してきましたが、今回も「ステイホーム」の風潮に素早く反応しました。ZARAのオンラインサイトの着用画像はすでに、おうちのなかでのセルフィーのような、あるいは家族に撮影してもらったような写真になっています。
2020年代は、感染症の大流行という歴史の転換からの幕開けとなりました。
ここ数ヶ月で100回は聞いた「不要不急」という言葉。確かにファッションは不要不急かもしれないけど、その不要不急がわたしたちの日常に不可欠な楽しみのひとつであることも強く感じられますよね。
ファッション誌も撮影を見合わせたりしているそうですが、ファッション写真に限らず、これまでの写真作品では、「その場に行って、被写体に立ち会って、撮る」という撮影行為の比重はかなり大きいものでした。
それが年々、撮影後のフォトショップでの編集などに時間が大きく割かれるようになってきましたが、外出できないいまの状態は「写真家としての身体」を大きく制限します。
いままさに、写真そのものが強制的に転換を迫られているのです。わたしは写真を「テクノロジーと人間の共存が現象として現れたもの」だとも思っているので、2020年代、これからの写真がとても楽しみです。
ではまた!
"ファッション" - Google ニュース
April 11, 2020 at 04:01AM
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おしゃれできない今だから!おうちで楽しむ「ファッション写真」の世界|現代アートは本当にわからないのか?|村上由鶴 - gentosha.jp
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