現在、多くの国では外出禁止令が出されているほか外出自粛が求められている。#stayhomeは、今や私たちに深く根付いた言葉となり、SNS上ではおうち時間を快適にするための様々なアイデアが散見される。しかしながら、Stay homeのhomeが必ずしも室内になく、“Stay outside” 状態にある人たちが世界中にいる。路上生活者、「ホームレス（※1）」と言われる人々である。年々路上生活者の死者数が増加傾向にあるイギリスでは、2018年に726人の人々が亡くなった。同国にはそのような住む家がない人々を支援する団体が多く存在する。
イギリスのロンドンで一組のカップルが立ち上げた、Unhousedというスタートアップ企業の取り組みも路上生活者を支援するものだが、その支援方法はユニークだ。彼らはオンライン上で衣服や雑貨の販売を行い、購入された商品と同様のものを家がない人々へ寄付している。ただ困っている人へ衣服を配っている訳ではない。注目すべき点は、販売されている衣服の性能にある。2年かけて開発されたUnhousedオリジナルの特別なナノテクノロジーを用いて作られたパーカーとセーターは、水や汗をはじき、汚れや臭いも付きにくいことに加え菌の除去率が高い優れモノである。なかなか衣服を洗うことができず、汚れた状態のものを長い間身に着けていることが多い路上生活者が、少しでも快適に過ごすことができるようにとの想いから生み出されたのがこの高性能の衣服、そして一つ買うごとに一つ寄付されるというアイデアだ。
サイト上ではパーカーを含めた衣服はもちろん、歯ブラシや生理用品などの生活雑貨、携帯電話のクレジットやコーヒー、ヘアカットなど路上生活者の生活を明るくする商品やサービスを購入することができる。衣服を買う時と同様に、それぞれ記載された金額を払うと、選んだモノやサービスが提供される。購入をした人は、実際に商品やサービスを受け取った人からのメッセージやコメントも受け取れるようになっており、自分の買い物が誰かの支援に繋がっていることを実感できる仕組みになっている。
日本における路上生活者の数は数字の上では年々減っているが、ネットカフェなどで生活し、安定した住居を持たない「見えないホームレス」も多く、その存在は見えにくい。また新コロナウイルス感染症の蔓延や災害などの緊急事態の際に取り残されやすい存在でもある。Unhousedの取り組みはイギリスのホームレス状態の人々の支援だが、日本でも、例えば「BIG ISSUE」という路上生活者が直接販売する雑誌を購入することでホームレス状態の人々の収入につながる。自分が嬉しく誰かの笑顔にもつながる、そんな小さいけれど大きな力になるアクションを起こしてみてもいいかもしれない。
（※1）ホームレスはその人の置かれた状態を指す言葉であるため、「ホームレス状態」や括弧つきで「ホームレス」、最近では「ハウスレス」とも言われることもある。
【参照サイト】UNHOUSED.ORG
（※画像提供：UNHOUSED.ORG）
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May 14, 2020 at 02:25PM
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