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バラの花びらから大豆、人の汗まで! ファッションのサステナ素材最前線。 - VOGUE JAPAN

Photo: Bite Studios

バラの花びらや藻類、そして人間の汗──。どれも、よりエコな素材を生み出すために使われている、自然由来の原料だ。

「サプライチェーン全体に絶大な影響を及ぼす素材は、とても重要です」

非オーガニックのコットンや石油由来のナイロンといった素材を指しながらそう話すのは、サステナブルな素材を集めた見本市「The Sustainable Angle Future Fabrics Expo」のキュレーターを務めるアマンダ・ジョンソンだ。

「これからの10年に向けて、代替素材の探求は必要不可欠です」と、同見本市の創立者でディレクターのニナ・マレンツィも付け加えた。

ファッション業界では、毎年大量の服が埋め立てられている。この深刻なゴミ問題への対策として、いま自然の副産物を使った新しい生分解性繊維が開発されているところだ。さらに、世界各地でヴィーガンなライフスタイルを選ぶ人が増えていることから、動物実験を経ない植物由来の繊維も複数生み出されている。

ここでは、そのなかでも特に革新的な次世代の素材を5つ紹介しよう。

バラの花びらを使ったシルク。

Photo: Bite Studios

蚕を殺して採取されることが多いシルク。動物愛護の観点から、非暴力的な方法で生産された「ピースシルク」も存在する一方で、ファッションブランドのなかには植物由来の代替素材に目を向けるところも出てきた。

ラボで生産されたシルクを使っているステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)や、オレンジの皮由来のシルクを採用しているサルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)などがその例だ。

こうした代替シルクの最新例は、バラの花びらを使ってつくられている。「インディアンローズの茂みから生まれるシルクです」と話すのは、ロンドンとストックホルムに拠点を置くブランド、バイト ストゥディオズ(BITE STUDIOS)の最高経営責任者(CEO)ウィリアム・ランドグレンだ。

バイト ストゥディオズでは、シグネチャーであるシャツに生物分解性のシルクを使っている。これは、廃棄された花びらを分解して紡績した糸を、天然染料で染め上げたものだ。ランドグレンは言う。

「滑らかな手触りで、光沢があります。バラは育成に化学物質も必要としません」

藻から生まれたバイオプラスチック。

Photo: Charlotte McCurdy

私たちの服に使われる素材のなかには、光合成を行なうことによって地球に好影響を及ぼしうるものもある。そのひとつが、身の回りの池や川、海に存在する藻だ。

「藻は地球上で最も効率のよい生物」と話すのは、藻類由来の耐候性素材を生み出したニューヨーク在住のデザイナー、シャーロット・マッカーディだ。この素材は、粉末状の海藻をさまざまな藻の脂質と混ぜ合わせて生産される。植物由来の蝋を塗ることで耐水性も実現し、ワックスドキャンバスとPVCビニールとの中間」のような質感になるという。

藻類は、下着やTシャツにも使える可能性を秘めている。ベルリンの企業Algalifeは、藻類を使ってコットンに似た素材の開発に成功した。

人の汗が水晶のオルタナティブに!?

Photo: Alice Potts

ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートの卒業生で、サステナブル素材のイノベーターとして活動するアリス・ポッツは汗を結晶化し、服の装飾に使ってみせた。

「採掘された水晶は再生可能資源ではありません。また、人権侵害につながる労働問題もあります」

こう指摘する彼女は、汗を自然に結晶化する技術を開発した。その方法は、まず靴下などを使って人の汗を集める。次にラボで細菌を分離し、それを服の襟やイブニングドレスといったアイテムに乗せると、4時間以内に結晶が育つのだ。生まれた結晶は、それぞれが違う形をしている。

「まるで人間から生まれたダイヤモンドみたいです」

ヴィーガンレザーの有望株はパイナップル。

Photo: Michelle Terris

Piñatex(ピニャテックス、別名パイナップルレザー)は、マッシュルームレザーやサボテンレザーと並んで、現在市場に出回っているものとしては最も一般的な代替レザーのひとつだ。エイチアンドエム(H&M)ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)ポール・スミス(PAUL SMITH)といったブランドも、アイテムにPiñatexを採用している。

パイナップルの葉からつくられたPiñatexは、フィリピンで革製品のコンサルタントとして働いていたカルメン・ヒホサ博士によって1990年代に考案された。彼女は、革の大量生産や薬品を使ったなめし加工が環境に与える悪影響を知り、この素材を生み出したという。前出のThe Sustainable Angleのマレンツィはこう評価する。

「フェイクレザーによく使われる石油化学物質を使用しない、丈夫な素材です」

Piñatexに用いられるパイナップルの葉の繊維は、自然な方法で採集されたものだ。これを日光で乾かし、トウモロコシ由来の素材と混合すると、従来の牛皮よりも目が荒いフェルト状の繊維が完成する。

未来のカシミアは大豆製!?

本来ウールは、サステナビリティと透明性を保ちながら調達できる素材だ(例えば、オーストラリアの非営利団体「The Woolmark Company」を通じて仕入れるなど)。だが現状は、その調達に不透明なサプライチェーンが関与していることが多い。

特にカシミアは、モンゴルの草原の大規模な環境破壊との関連が指摘されている。そこで登場するのが、2019年に「植物由来のカシミア」」という新分野を切り開いたアスレジャーブランド、KDニューヨーク(KD NEW YORK)だ。同ブランドは、豆腐の製造工程で出る大豆かすのタンパク質をパルプに分解し、繊維に変えている。こうしてできるウールは耐菌性や防虫効果も備え、洗濯機でも洗えるという。

Text: Grace Cook

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June 11, 2020 at 05:00PM
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