GUCCI 永遠の名曲、ラヴェルの「ボレロ」で見せた儀式的パフォーマンス。
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「ボレロ(Bolero)」/ モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel)
無観客ショーもあったミラノファッションウィークだったが、そんな中、グッチはこれまでにない斬新な演出でコレクションを発表した。
フィッティング、ヘアメイクといったショーにおける重要な役割を果たすバックステージの様子を360度回転する舞台上に忠実に再現。デザイナーのアレッサンドロ・ミケーレ自身も出演し、モデルやスタッフに指示を出すパフォーマンスを見せた。
ミケーレはこれを宗教的な意味合いを持つ“儀式”と呼んだ。フランス人作曲家モーリス・ラヴェルの永遠の名曲「ボレロ」が流れるなか、踊るようにリズミカルな彼流の“儀式”が行われた。
VALENTINO Z世代の多様性を表現する、ビリー・アイリッシュとカルテットを融合。
Photo: Andrea Adriani / Gorunway.com
「コピーキャット(COPYCAT)」/ ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)
ビリー・アイリッシュの消えてしまいそうなほど華奢な歌声が囁き声のように会場に響き渡り、ヴァレンティノのショーが幕を開けた。オープニングを飾った曲はバックサウンドなしの「COPYCAT」だ。
全身ブラックに身を包んだモデルたちが歩く中、絃楽器カルテットによる生演奏がビリーの繊細な歌声と混じり合い、美しいハーモニーが響き渡る。約18分間に渡るショーでは、全てビリーの曲を起用し、「everything I wanted」「ilomilo」といった名曲がクラシカルな演奏とともにランウェイを彩った。
今季、個々の人間らしさにフォーカスすることを目指したデザイナーのピエールパオロ・ピッチョーリ。Z世代の多様性を象徴するビリーの楽曲のほかにも、トランスジェンダーモデルを起用するなど、新時代のエレガンスを披露した。
DRIES VAN NOTTEN ダークで魅惑的なナイトライフを表現。
Photo: Valentina Valdinoci / Gorunway.com
「パーティ ガール(Party Girl)」/ミッチェル・ガービック(Michelle Gurevich)
カナダ人シンガーソングライターのミッチェル・ガービックの「Party Girl」をコレクションテーマに掲げたドリス・ヴァン・ノッテン。
ノイズのようなギターリフが響き渡る中、低音のハスキーボイスで“I’m a party girl”と呟くように歌い出す。
鮮やかなピンクとグリーンが印象的なフラワープリント、赤と黒のフェザー、ブラックレザー、それらは、ナイトライフにおけるファッションイメージそのものであり、神秘的でロマンチック。のめり込んだら抜け出せない、ダークでちょっと危険な世界観を作り上げていた。
GIVENCHY 電子音楽とオーケストラによる、ポスト・クラシカルな世界。
Photo: Andrea Adriani / Gorunway.com
「モジュラー天文学(Orlando, Modular Astronomy)」/マックス・リヒター、バベルスベルク・ドイツ・フィルムオーケストラ(Max Richer, Deutsches Filmorchester Babelsberg)
フランスの気鋭シンセウェイヴ・デュオ、“Double Mixte”による「November (Instrumental) 」の軽やかなビートに包まれて始まったジバンシィのランウェイは一変、ポスト・クラシック界の巨匠マックス・リヒターによる、美しくも厳格なクラシックへ。
リヒターは、ロイヤル・バレエ作品『ウルフ・ワークス』に惚れ込んで自ら再編集し、バベルスベルク・ドイツ・フィルムオーケストラの演奏によって、アルバム『3つの世界:ウルフ・ワークスより』を制作している。ランウェイでは、同作に収録されている「モジュラー天文学(Orlando, Modular Astronomy)」が使用された。
さまざまなグラフィックパターンがミックスされたドレス、ブラック&ホワイトのフェザーが印象的なイブニングドレスなど、レトロエレガントなドレスたちをより一層引き立て、女性の持つ柔らかさと凛とした強さを感じさせた。
CELINE 渾身の一曲を22分にアレンジした、ロックダンディー。
Photo: Andrea Adriani / Gorunway.com
「ゲット・アウト・オブ・マイ ヘッド(Get Out of My Head)」/ ソフィア・ボルト(Sofia Balt)
70年代のブルジョワスタイルをあえてユニセックスというアプローチで披露したエディ・スリマンによるセリーヌ。
ショーでは、フレンチアメリカンシンガーのソフィア・ボルトの楽曲を起用し、2018年にリリースしたシングル「Get Out of My Head」をセレクト。使われたのはこの1曲のみで、3分50秒しかないオリジナルから、ショー用に22分バージョンにアレンジさせるという熱烈っぷりだ。
今シーズンが初タッグとなったが、フォークロックサウンドにソフィアのノスタルジーな歌声、そして、ギターの轟音が、常にロックを感じさせるエディの世界にぴったりと寄り添っていた。
LOUIS VUITTON 圧巻のフィナーレ! バロックと現代のミクスチャー。
Photo: Andrea Adriani / Gorunway.com
「スリー ハンドレッド・アンド・トウェンティ(Three Hundred and Twenty)」/ ウッドキッド、ブライス・デスナー(Woodkid, Bryce Dessner)
パリファッションウィークのフィナーレを飾ったのは、15世紀から20世紀の衣装を身に纏った200名の合唱団による圧巻のライブパフォーマンスを披露した、ニコラ・ジェスキエールによるルイ・ヴィトンだ。
フランス人アーティスト、ウッドキッド(Woodkid)ことヨアン・ルモワンヌと、「ザ・ナショナル(The National)」のメンバーとしても知られるブライス・デスナーによる楽曲「Three Hundred and Twenty」が荘厳な雰囲気の中響き渡る。
この楽曲は、1600年代に活躍したフランス人作曲家ニコラ・ド・グリニーの「Récit de tierce en taille」にインスパイアされ、ニコラを現代に甦らせるというコンセプトのもと、オリジナルのバロックを尊重した壮大なスケールのクラシックに再構築したものだ。
ウッドキッドはこれまでにもニコラ・ジェスキエールと継続的にコラボレーションしており、2019年のクルーズコレクションでは、ジェニファー・コネリーをゲストボーカルに迎えた「On Then And Now」が使用された。
今季のランウェイでは、絃楽器が反復するミニマルなサウンドが心地良い疾走感を与え、バイカージャケットにフォーマルドレスといった自由なミクスチャースタイルを強く印象付けた。
Text: Kana Miyazawa
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March 30, 2020 at 04:00PM
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2020-21年秋冬ファッションウィークを彩ったあの曲たち。 - VOGUE JAPAN
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